前回帝王切開をなさった方の今回の分娩方法に関する考え方![]()
前回何らかの理由で帝王切開で分娩なさった方が、次回の分娩の際に経腟分娩をトライすることをVBAC (Vaginal Delivery After Cesarean Section) と言います。20年ほど前にはVBACはアメリカを中心に多数試みられ、「前回帝王切開でも今回は経腟分娩で」のスローガンは、ごく当たり前の事とされていました。しかし、そのように経腟分娩をトライした人たちの中で、約千人に一人位の確率で、VBACをしたことによって子宮破裂を起こし、母体や胎児に重篤な合併症を起こす事が分かってきました。このため、やはり近年、米国を中心に「前回帝王切開したら今回も帝王切開」へと180度方向転換をしています。この傾向は欧米に限らず日本でも同様で、現在日本でVBACを行っている病院はあまり多くないと考えられます。 そのような状況の中でも、どうしても経腟分娩をトライしたい方に対し、アメリカでは365日24時間、緊急帝王切開が15〜30分以内に行える体制が整っている施設に限って、現在でもVBACは存在しています。 しかしたとえ15〜30分以内に手術を行うことが出来たとしても、必ずしも元気な赤ちゃんを出産する事が出来るとは限りません。と言うのも、一度お腹を開けた人の手術は、初めてお腹を開ける人に比べると手術が難しく、更に破裂をしている場合には通常の帝王切開よりも難度が高いことが知られており、初回の帝王切開と同じように胎児を素早く娩出出来ない可能性もあり、このような場合には母体や赤ちゃんが極めて危ない状態になるのです。 可能な限り自然な分娩を、可能な限り患者さんの要望に添った分娩を、との方針のもと、愛育病院でもVBACを行っていたのも事実です。しかし、現在の日本の医療の抱える産婦人科診療の過酷な状況は愛育病院でも同様で、安全管理上の観点から、愛育病院では現在はVBACは行わず、帝王切開による分娩方針となっています。 |
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